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【出演者リレーコラム】私の大音郷TV ①(栗林聡子編)

「ピアノの発表会をやる公民館の隣にね、お城みたいな大きいホールができるんだってさ!」

当時小学生の私は、毎日ピアノを弾くことに夢中でした。
年に1度、キレイなお洋服を着てスポットライトを浴びることができるピアノ教室の発表会は、大曲中央公民館のステージ。その隣に、もっと大きなホールが出来るということで、とても心躍らせていたのを今でもはっきりと覚えています。

大仙市大曲市民会館大ホールの収容人数は約1000人。
「もし満員のホールで歌うことができたらどんなに気持ちいいだろう」そんな夢を抱きながら高校生になった私が、ついに夢が叶える日がやってきます。
2003年7月13日NHKのど自慢大曲大会。大曲高校3年生になった私は、高校の制服を着て深緑色のリボンをつけ、大曲市民会館大ホールのステージに立っていました。3階席までぎっしりの客席、たくさんの声援と拍手、スポットライト、そして、合格の鐘の音。私の人生が変わったステージでした。

2020年11月6日。あの日から17年経った私は、同じステージに立ちスポットライトを浴びていました。
ただひとつ大きく大きく違うのは、お客さんがいないということ。
この日、大曲市民会館大ホールで「大音郷TV」の生配信が行われたのですが、新型コロナウイルスの影響により会場は無観客でした。ポップス、民謡、和太鼓…ジャンルを超えた出演者たちは皆、精一杯のパフォーマンスをステージ上で魅せていました。
表現者にとって何より大切なのが「お客さんの反応」、まさに空気感・ライブ感なのです。無観客ということは、目の前にその反応がありません。それでもラジオの向こうにはお客さんがいるし、収録した動画は全世界へと発信されます。気持ちをどこに置いていいのか戸惑った出演者は私だけではなかったはずですが、それでもそれぞれの今できる一番のパフォーマンスがステージの上にはありました。

ぎゅっと唇をかみしめるような悔しい思いばかりだった2020年。
新型コロナウイルスの影響でキャンセルになったステージは数えきれません。それでも、私自身がこれまで音楽に何度も救われてきたので、ここで音楽を捨てるわけにはいきません。
つらい時にも苦しい時にも寄り添ってくれるのが音楽であり、「表現をさせていただける体と声」を授けてもらった私は、「いい歌っこ聴いで元気出だなや」と言っていただける人が一人でもいる限り、この土地で歌い続けていきたいと思っています。

大仙市は音楽の郷である。表現する人がいて、聴いてくださる人がいて、「いつか私も」と憧れを持つ子供たちがいる。
この土地には、ずっとずっと繋がってきた音楽に対する素敵な輪があります。
その輪が今は少し小さいかもしれないけれど、必ずまた光を取り戻しますように。私は、今の私にできることを表現しながら、「いつか私も」と思う世代へ繋げていけるように、この場所で音楽を愛していきたいと思います。

栗林 聡子(くりばやしさとこ)
美郷在住、大曲高校出身。学生時代NHKのど自慢グランドチャンピオン獲得。しかし秋田県で歌い続ける道を選び、秋田県南の歌姫として文句なしの活躍中。
昨年は、天皇陛下ご即位記念「第39回全国豊かな海づくり大会・あきた大会」でも熱唱。
公式ホームページ

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Music Festival in DAISEN 2020「大音郷TV」(2020.11.6大曲市民会館)に出演したアーティスト達によるリレーコラムです。
好評配信中の「大音郷TV」はこちらでご覧になれます
各アーティストの出演時間は画面下の詳細ページに記してありますのでご参考ください。

FMはなび

電話番号/0187-88-8246
住所/秋田県大仙市大曲通町1-14