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FMはなび開局5周年を迎えて②福原尚虎

FMはなび 放送局長 福原尚虎

いま、もっともやり甲斐のあるラジオの仕事と言えば、コミュニティFMで間違いない。
つい最近も、警察署から来た「迷い犬情報」を放送したところ、無事再会出来たと、飼い主ご自身からお礼の電話を頂いて、こちらも勇気づけられた。
これが出来るのが、これをやるのが、コミュニティFMなのだと。

仕事を終えて帰り道のスーパーで買い物をしていると「この前の特別番組良かったですよ」と売り場で声をかけられた。
ああ、それはどうも、と照れ笑いの会釈をしながら、実は心の中では躍り上がるほど嬉しかったりする。
帰り道のスーパーで!まさに町内会だ。

市役所に寄せられた声の中で「FMはなびが出来てから大仙市の8地域が一つになった気がした」というお言葉があり、これはもう本当に報われた気持ちになった。
15年前に8つの市町村が合併して出来たのが大仙市である、その広さは東京23区より広い。
当然、僕にも全くわからない地域があったし、その「規模感」を掴むのに時間がかかった。
ただ、ひたすら大曲、太田、神岡、協和、仙北、中仙、南外、西仙北、と8つの地域の名前を言い続けてきた。
だから社交辞令だったとしても、大仙市が一つになったという言葉は「勲章」である。

もちろん、まだまだ、皆なの期待に応えられている放送局だとは思っていない。
目指している事も、やらなくてはいけない事も山積みだ。

電車に乗って大曲駅に近づく時、窓の外に広がる住宅を見渡すたびに「この景色の中で、どれだけの人がFMはなびを聴いてくれているだろう」という気持ちになる。
できる事なら一軒一軒訪ねて、どうかラジオを聞いてくださいと挨拶したい心境だ。
そんな気持ちにさせてくれるのがコミュニティFMで、この感情は他の放送では湧いてこない。

そういえば最近こんなこともあった。
ガラス張りのFMはなびスタジオは、駅前の「ヒカリオ広場」にあって、前を通る人の多くは笑顔で手を振ってくれる。
ある時、初めて出会った一杯機嫌のお父さんがこう話してくれた。
「オレはあそこのスタジオの前を通る時、中に人がいたら必ず手を振ることにしているよ。だって、嬉しいじゃないの。ラジオがあるんだヨ、この街に!」
どれだけ恵まれている放送局なんだと心底思う。

ところで、放送局は5年が節目だと言われる。
いや、3年を契機に状況が変わる。という言葉も聞いたこともある。
つまり、開局当初は新しくて珍しくて盛り上がるが、時間が経つと飽きられる、出演者のテンションも下がってくる。
しかし、FMはなびだけは違うと心底思っている。
他のどことも違う放送局を目指していて、どこも出来ない事をやるのがFMはなびだからだ。
まあ、ラジオをやってる人なら皆んな同じ気持ちなんだろうけど。
でも、FMはなび、これだけ期待と愛情に囲まれているんだから、出来ないはずが無い。

コミュニティFMにしか出来ないことを積み重ね、ラジオがかつて失ったものを取り戻す、5年経ってもこの気持ちは変わらない。

FMはなび

電話番号/0187-88-8246
住所/秋田県大仙市大曲通町1-14